近年、米国ではより暑く乾燥する気候条件になるにつれ、山火事がより頻繁かつ激しく発生しています。山火事の煙は、大気中で化学反応や凝縮を経て形成される、多様な化学成分の複雑な混合物を含んでいます。大気汚染物質の中でも、とりわけ直径2.5マイクロメートル未満の微小粒子状物質（PM2.5）は、肺の奥深くまで入り込み、血流に取り込まれることで全身的な健康への影響を引き起こす可能性があります。Society of Actuariesが発表した本研究は、山火事シーズンにおけるPM2.5曝露とその遅延効果が、循環器疾患（circulatory conditions、CIR）、精神・行動障害（mental and behavioral disorders、MBD）、腫瘍（neoplasms、NEO）、呼吸器疾患（respiratory conditions、RSP）の4つの疾患群の有病率に与える影響を定量化することを目的としています。2017年から2023年の医療請求データ、気候データ、地域レベルの社会経済データを組み合わせ、機械学習および統計手法を適用しました。主な対象データには、民間保険、メディケア、メディケイドの3つの主要な健康保険が含まれています。

主な考察：

• 臨床的リスクおよび人口統計学的要因は、調査対象の4つの疾患群の有病率の約68％から92％について説明が可能です。
• 山火事シーズン中のPM2.5曝露とその遅延効果は、環境・社会的背景要因の11％から26％を占めました。
• 極端な高温およびその遅延効果は、疾患有病率の2.3％から8.6％、または環境・社会的背景要因全体の26％から56％を占めました。
• PM2.5曝露と極端な高温の複合的な影響は、MBD（精神・行動障害）有病率全体の6.7％から7.8％、または環境・社会的背景要因による有病率への影響の50％から56％を占めました。
• 山火事シーズン中のPM2.5曝露の影響は、特にCIR（循環器疾患）およびMBD（精神・行動障害）において、曝露イベントの数か月後から数年後まで続くことがありました。
• RSP（呼吸器疾患）は、山火事シーズン中のPM2.5曝露後すぐに有病率が上昇しましたが、CIRおよびMBDは遅れて反応し、しばしば曝露後数か月後にピークに達しました。
• 医療アクセスが限られている、社会的脆弱性が高い、または既存の慢性症状を抱えるコミュニティは、山火事や高温の際により大きな健康被害を受けやすい傾向がありました。

本稿全文はこちらからご覧ください。